愛着関係と信頼関係 重要なのはどっち? | 2つの違いや形成方法も

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※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】

突然ですが、

愛着障害=愛着関係の障害、愛着スタイル=愛着関係のスタイルというふうに言い換えることができます。

このように愛着理論の土台となる概念にもかかわらず、なかなか言及されない「愛着関係(または単に愛着)」が今回のテーマです。

※今回はこちらの記事を読んでいただいている前提で話を進めます。

1.愛着関係の様々な解釈

母と子

愛着関係の定義次第で「何を愛着障害と捉えるのか」の分析はガラリと変わります。

最もシンプルな定義は脳科学者の友田明美氏のものが参考になるでしょう。

1-1.愛着関係(愛着)とは

「子どもと特定の母性的人物(親、養育者)とのあいだに形成される強い結びつき(絆)」のこと

出典元:友田明美『子どもの脳を傷つける親たち』

この定義が基本となって、様々なバリエーションの「愛着関係」が生まれます。また、「母性的人物」という部分に注目しましょう。

「母親」と断定していないわけですね。

1-2.高橋和巳バージョン

ところが、精神科医の高橋和巳氏は母親との強い結びつきを重視します。

愛着理論を作ったジョン・ボウルビィメアリー・エインスワースが活躍した時代は母親による子育てが重視されていました。

高橋氏はその流れを汲んでいるわけですね。そんな高橋氏は重要な発言をしています。

「愛着障害」について書かれた書物には、愛着障害を単に「母子関係の歪み」とか「親の愛情不足」として見ているものが少なくない。しかし、愛着関係が「ある」のか「ない」のかが、心の発達の出発点だ。

出典元:高橋和巳『「母と子」という病』

愛着関係が「ない」場合に起こるのが愛着障害です。

愛着関係が「弱い」親子もいますが、その場合は愛着障害にはなりません

しかし、精神科医の中には「愛着関係が弱い場合」も愛着障害になると解釈する人もいます。その代表格が岡田尊司氏です。

1-3.岡田尊司バージョン

岡田氏の考え方を端的に示したのは以下の個所でしょう。

従来、愛着の問題は、子どもの問題、それも特殊で悲惨な家庭環境で育った子どもの問題として扱われることが多かった。しかし、近年は、一般の子どもにも当てはまるだけでなく、大人にも広くみられる問題だと考えられるようになっている。しかも、今日、社会問題となっているさまざまな困難や障害に関わっていることが明らかとなってきたのである。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

「特殊で悲惨な家庭環境で育った子ども」は高橋氏の言葉を借りれば、愛着関係がない子どもを指します。

しかし、岡田氏は「愛着関係が弱い」という考えを駆使することで、

「一般の子どもや大人」「さまざまな困難や障害」にも愛着障害を当てはめようとしているわけですね。

よって、岡田氏が愛着障害と主張している症状の種類は非常に多岐にわたります。

1-3-1.性格の土台になる?

そんな岡田氏はこのように発言します。

愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。

出典元:同上

「人格」は性格と言った方がイメージしやすいかもしれません。

愛着スタイルの特徴を見て「これって性格じゃないの?」と思った方も多いと思いますが、岡田氏の主張によると、

愛着関係は性格の土台となるので、性格より強力に人生を左右するようです。

※「愛着スタイル」と「性格」の違いや愛着スタイルの特徴については

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1-3-2.母親への重圧

岡田氏も高橋氏と同様に子育てにおける母親の役割を重視するのですが、母親に過剰な責任を負わせようとするのが特徴です。

母親は、子どもの対人関係だけではなく、ストレス耐性や不安の感じ方、パートナーとの関係や子育て、健康や寿命に至るまで、生存に関わる影響を、それこそ生涯にわたって及ぼす。

出典元:岡田尊司『回避性愛着障害』

「愛着関係」を拡大解釈した結果、母親の子どもへの影響力も拡大解釈されてしまうわけですね。

※もちろん、岡田氏の「母親原理主義」的な態度は様々な人に批判されています。

1-4.形成方法

岡田氏の主張を100パーセント信じないにしても、やはり愛着関係の形成方法は気になると思います。そのような方は

こちらをご覧ください。

こちらは親に向けた記事なのですがこちらの内容が該当していたら愛着関係が形成されていて愛着障害にはならないはずなので、

「自分は愛着障害かも」と思っている方にもお勧めです。

ところで、愛着関係と似た言葉として「信頼関係」がありますが、両者の違いについてまとめましょう。

2.愛着関係と信頼関係の違い

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なぜ、愛着理論では「信頼関係」という言葉を使わずに「愛着関係」を使うのか、このように考えましょう。

  • 信頼関係…2者の間の心の絆(友だちとの間・恋人との間など)。
  • 愛着関係…あらゆる信頼関係の基になる親と子の心の絆。

岡田氏の発言をもう一度引用しましょう。

愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。

出典元:同上

親子(特に母子)間の心の絆だったはずの愛着関係が「人と人との絆を結ぶ能力」を持っているとのことです。

よって

愛着理論では信頼関係よりも愛着関係の重要性を説くわけです(特に、岡田氏はその傾向が強いと言えます)。

これは要するに

「親のことを信頼できる子どもは他人も信頼できる」という類の考え方なのですが、愛着理論では「内的作業モデル」と呼ばれます。

「内的作業モデル」というふうに聴くと何やら難しそうに感じるかもしれませんが、このような考え方は

おそらく、多くの方が信じているのではないでしょうか。

「親のことを信頼できる子どもは他人も信頼できる」はまだいいのですが、

  • 親のことを信頼できない子どもは他人も信頼できない。
  • 他人を信頼できないのは親を信頼できないように育てられたからだ。つまり親が悪い

といった具合に親子間の不和につながる考え方でもあります。

子どもにも親にも絶望を与えかねない、かなりシビアな考え方だとも言えますね。

以上を踏まえて次回は「内的作業モデル」の解説をしていこうと思うのですが、

内的作業モデルの考え方が否定されれば愛着スタイルも否定されると考えてください。

よって、次回は「不安型」や「回避型」や「恐れ・回避型」の愛着スタイルの特徴が当てはまっていて不安に感じている方は必読です。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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