「三つ子の魂百まで」と「物心つく前の記憶は残らない」正しいのは?

記憶

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今回は「三つ子の魂百まで」という諺と、それの対極にあたる「物心つく前の記憶は覚えていない」という定説について解説します。

さらに

「三つ子の魂百まで」を擁護する理論である愛着理論についても解説していきます。

知らない方のために言っておくと、愛着理論は

対人関係だけではなく、ストレス耐性や不安の感じ方、パートナーとの関係や子育て、健康や寿命

出典元:岡田尊司『回避性愛着障害』

これら多くの事柄に関わるとされているので、知っておくと便利です。

1.「三つ子の魂百まで」とは

123サイコロ

まずは「三つ子の魂百まで」から解説していきます。

1-1.意味

幼い頃の性格は、年をとっても変わらないということ。

出典元:故事ことわざ辞典

「幼い頃」となっていますが、基本的には「3歳までの子」を指し、転じて「幼い子」といったニュアンスだそうです。

1-2.注意事項

しかし、一般的には「物心つく前(3歳頃まで)の記憶は残らない」と言われています。そんな反論を気にしてか『故事ことわざ辞典』には

幼い頃に習ったり覚えたりしたことには用いない。誤用例 「三つ子の魂百までだから、音感が良くなるように今すぐピアノ教室に通わせよう」

出典元:同上

と記されています。

「記憶したもの」ではなく、あくまで「性格」という行動や思考のパターンは変わらないということでしょう。

2.「物心つく前の記憶は残らない」について

記憶

そうは言っても「性格」には記憶が関係するし、記憶にも「宣言的記憶」と「非宣言的記憶」があったりとややこしいのですが、

「物心つく前の記憶は残らない」という定説を通して記憶について解説していきましょう。

2-1.意味

「物心つく」のは3歳頃なので、「物心つく前の記憶は残らない」とは文字通り、3歳までの記憶は残らないという意味です。

3歳までの記憶は残らない理由は、脳の中の「海馬」という部分が関係しています。

記憶を保持したり想起したりするためには海馬が必要なのですが、幼児は海馬が開発されていないのです。

2-2.個人差がある?

「物心つく前の記憶は残らない」というのは定説ですので、もしかしたら個人差があるのかもしれません。

しかし

「3歳以前のことを覚えている」という方も、それは3歳以降の記憶と混同しているというのが一般的な考え方です。

ただし、これは「2歳の頃にディズニーランドに行った」という類の記憶(宣言的記憶)であり性格にはそれほど影響を及ぼしません

「三つ子の魂百まで」と関連するのは性格に関わる記憶なのでそれについて解説していきます。

2-3.虐待の後遺症

忘却したはずの早期記憶が,後の人生の脳機能と生理に深く影響していることも実証されている.例えば,育児放棄や虐待を幼児期に経験すると,成人期でのストレス脆弱性が増加し,心的外傷後ストレス障害などの発症素因となる。

出典元:J-STAGE『実は覚えている物心のつく前』

このように幼児期に虐待を受けると、その後の人生が大きく変わってしまうという報告も多数されているようです。

この文章は「幼児期の虐待の体験がなんらかの記憶として残っている」というニュアンスですが、

虐待は脳の発達を阻害するので、記憶というよりは脳へのダメージが成人期のトラブルにつながるとも考えられます。

3.「三歳までの性格は変わらない」は嘘

×ヒヨコ

ここでいったん話を「三つ子の魂百まで」に戻しましょう。

「3歳までの性格は年をとっても変わらない」というのは正確ではないので安心してください。

3-1.脳科学的批判

子供時代がわらしたちの性格形成とその後の人生に影響を与えることには、なんら疑問の余地はありません。しかしこの影響は、長い間思われてきたほど重要ではないのです。

出典元:クラウス・ベルンハルト『敏感過ぎるあなたへ』

「長い間」というのは「脳科学が未発達だった間」のことです。現在では、われわれの性格形成その後の人生に影響を与えるのは

  1. 遺伝による要素(生まれつきの特徴)。
  2. 親の養育
  3. 社会的な環境
  4. 母親の胎内にいた時の状況。

この4つが複雑に絡み合ったものだと言われています。

「三つ子の魂百まで」は①,②,④に関わってくるので、かなり的を射た諺だとわかりますが、

の影響、特に「同じ年齢くらいの仲間からの影響」は多大です。

現に多くの人は「自分の性格や生き方は様々な人からの影響で作られた」と思っているのではないしょうか。

3-2.養育だけではない

しかし

ほとんどの人が「三つ子の魂百まで=②親の養育の影響力の大きさを言ったものだ」と解釈していると思います。

そこで今回のもう一つのテーマである「愛着理論」の話をしていきましょう。

4.愛着理論=三つ子の魂百まで

疑問ネコ

愛着理論をよくご存知でない方は ↓ を読んで欲しいのですが、

冒頭でも言った通り、愛着理論は「三つ子の魂百まで」を強力に擁護する理論です。

愛着理論について語っているサイトが「三つ子の魂百まで」を擁護し、「物心つく前の記憶は残らない」という定説を批判していたので、

それに対する反論を考えていきましょう。

4-1.触覚による記憶

そのサイトは「物心つく前の記憶は残らない」のを認めた上でこのように言います。

言葉とか画像とか音とか、そうした記憶はほとんど残らないが、触覚だけは脳内の別の部分「線条体」という所にその記憶が保管されているため、漠然としたフィーリング(感覚と感情の中間のようなもの)として残るため、その影響を大きく受けています。

出典元:ホリスティック・メンタルヘルス研究所

岡田尊司的愛着理論では「2歳までの親からの愛情量でその後の人生は大きく変わる」と考えるのですが、

それは「触覚(スキンシップ)」を通じて得たフィーリングが大きく関係しているそうです。

※ここで批判している愛着理論は岡田尊司氏によって拡大解釈されたものです。

4-2.三つの批判

この主張に対する批判は

  • 「多くの経験学習何度も考えることによって得られた行動パターン」よりも「幼児期という短い間に得られたフィーリング」の方が我々の行動を縛るという根拠はあるのか。
  • 「漠然としたフィーリング」として残ったものには遺伝は関わりないのか。
  • そもそも「幼児期に得られたフィーリング」によって性格や生き方が決まるのなら、もはや改善しようがないのではないのか。

などが挙げられます。要するに、あまり信ぴょう性がないのです。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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