高橋和巳から岡田尊司への批判【まとめ】

ダメ!

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日本で最も有名な「愛着理論(あるいは愛着障害)」の解釈岡田尊司氏のものでしょう。

というか

「愛着理論=岡田氏が主張しているもの」くらいに捉えている人も多いのではないでしょうか。

確かに岡田尊司氏はそれくらい有名なのですが、実は岡田氏は「愛着理論の専門家」からはかなり批判されています

例えば

これは臨床心理士の斎藤清二氏と「アタッチメントの専門家(=愛着理論の専門家)」である工藤晋平氏の会話です。

工藤氏の批判の内容は今回かみ砕いて説明するのですが、

まずは、岡田尊司氏を通じて「愛着障害」を知った方は ↓ の記事をお読みください。

今回紹介する高橋和巳氏は工藤氏と同様に、岡田尊司的愛着理論を批判しているようです。

ですが「そもそも愛着理論にあまり詳しくない」という方は

こちらをご覧ください。

1.高橋和巳の場合

カルテ

精神科医の高橋和巳氏の『「母と子」という病』にも岡田氏の主張に対する批判があります。

1-1.精神医学での考え方

「愛着障害」について書かれた書物には、愛着障害を単に「母子関係の歪み」とか「親の愛情不足」として見ているものが少なくない。しかし、愛着関係が「ある」のか「ない」のかが、心の発達の出発点だ。本書では、「愛着障害」=「母子間に愛着関係が成立しなかったこと」として、書き進めていくことにする。

出典元:高橋和巳『「母と子」という病』

愛着障害を単に「母子関係の歪み」や「親の愛情不足」として見ている書物とはまさに岡田尊司氏のものです。

高橋和巳氏の書き方的に岡田氏以外にもいるのかもしれませんが、それはさて置き、少々解説を加えましょう。

「愛着関係が成立しなかった」場合、その子は「反応性愛着障害」や「脱抑制型対人交流障害」のなる可能性があります。

そして、精神医学界で愛着障害と認定されているのはこの2つのみです。

また

この2つの愛着障害はネグレクトという虐待によって起こり、ネグレクトは脳の発達を妨げます

言い換えれば脳の発達が妨げられるために反応性愛着障害や脱抑制型対人交流障害になってしまうのですが、

高橋和巳氏も言うように、これは「母子関係の歪み」とか「親の愛情不足」とはレベルが全く違います

「親の愛情不足」で脳の発達が妨げられることもないし、そのような迷信を信じる方がよっぽど不健康でしょう

1-2.ジョン・ボウルビィの考え方

また、高橋和巳氏はこのように言います。

愛着障害とは、ボウルビィが述べるように生後~2歳くらいまでの間に、養育に継続的に責任を負う大人(多くは母親)に出会わなかったために、愛着関係を築くことができなかった子どもたちの障害である。

出典元:同上

「ボウルビィ」というのは愛着理論の提唱者であるジョン・ボウルビィのことです。

ボウルビィも「愛着関係を築くことができなかった」と述べているので、伝統的な愛着理論の考え方を精神医学界は踏襲しているのでしょう。

高橋和巳氏は伝統的な考え方、岡田尊司氏は異端の考え方といったところでしょうか。

※もしジョン・ボウルビィについて知りたい方がいたら

おススメ

準備中

2.岡田尊司の場合

カルテ2

当サイトでは

愛着障害とは

2歳までに親(特に母親)や養育者との間に強い心の絆が出来なかったことが原因で様々な症状や支障が生じている状態のこと。

と定義しています。「強い心の絆」つまり、心の絆に程度があるということなのですが、これは岡田尊司氏の定義を参考にしています。

弱い心の絆」あるいは、虐待まではいかなくとも「親の愛情不足」で身に付くのが「不安定な愛着スタイル(不安定型愛着)」です。

こうした不安定型愛着に伴って支障を来している状態を、狭い意味での愛着障害、つまり虐待や親の育児放棄による「反応性愛着障害」と区別して、本書では単に「愛着障害」と示すことにしたい。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

このように「不安定な愛着スタイル」と「愛着障害」、さらに「愛着パターン」は厳密には別物なようです。

さらに「安全基地」も高橋和巳氏の著作には出てこないので、岡田尊司系愛着理論ならではの定義なのかもしれません。

ほとんど全てのサイトが「岡田尊司系愛着理論」における愛着障害の紹介をしているようですが、

愛着スタイルの間違いや「安全基地」の危険性については紹介していないようです。

特に「安全基地」は脳科学や心理学や論理的に言っても間違いが多いのですが、気になる方は

こちらをご覧ください。

3.愛着理論自体どうなの?

ダメ!

このように岡田尊司氏の理論には批判すべき点が多く、この記事のみでは全部書き切れないので、今回は高橋和巳氏の理論に集中しましょう。

実は

高橋和巳氏の愛着理論にも問題点があります。一言で言えば、救いがないのです。

3-1.運命だから仕方がない?

『「母と子」という病』には「愛着関係が成立しない」まま成長した人の愛着障害のカウンセリングのケースも出てきますが、

長期的に見て本当に治ったかどうかは、正直分かりません。

にもかかわらず、高橋和巳氏はこのような言葉で締めます。

それはある意味、幸せである。なぜなら、最初から人に認めてもらえなかったので、あなたには確定できる位置がなかった。出生地がなかった、故郷がなかった。だから、あなたはこの事実を知ることができれば、初期条件に縛られることなく、地球上のどこへでも自由に歩いていける。あなたの今いる位置が、そのままあなたの現在地になる。

出典元:高橋和巳『「母と子」という病』

高橋和巳氏はこのようにポエムのような文が多いのが気になる所なのですが、さらに気になるのは前の文と矛盾しているところです。

私たちはどうあっても、母親との愛着関係、その有無も含めて、に縛られて人生を歩み出す。

出典元:同上

ここでは「愛着関係が無いこと」にも縛られると書かれています。さらに、

出発点は母子の愛着関係にある。そこでできた自己イメージの大枠は、おそらく生涯を通じて変わらない。それは、よいも悪いも生まれながらに背負った運命だ。、運命は変えられない

出典元:同上

つまり、幼い頃に反応性愛着障害になり自己肯定感が低下したとしても運命だから変えられないとのことです。

それを「ある意味、幸せ」とか「地球上のどこへでも自由に歩いていける」とか言っても多くの人は救われないのではないでしょうか。

3-2.「安全基地」は否定されている

このような見解は愛着理論ならではなのか、高橋和巳氏ならではなのか、工藤晋平氏はどうなのかはわかりません。

いずれにせよ

愛着理論は現在の生きづらさや精神的トラブルを克服するどころか悪化させる可能性があるのです。

このことは最新の脳科学により明らかになったのですが、詳しくは ↓ をご覧ください。

一方の岡田氏による愛着障害の解決方法は

対人関係療法」や「認知行動療法」や「マインドフルネス」など科学的に効果が実証されたもの+「安全基地」といった感じです。

ですが、「安全基地」による治療法も最新の脳科学で否定されています。

「安全基地」こそ岡田式愛着理論の肝だと思うのですが、

それが否定されているのなら最初から対人関係療法などを使えばいいということになります。

もちろん、「安全基地」の考え方にも参考になる点はたくさんあるのですが、その点も含めて

「対人関係療法」や「認知行動療法」などの生きづらさや精神的トラブルを解決する手法について気になる方は

おススメ

準備中

こちらをご覧ください。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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