精神分析・暴露療法・愛着理論は症状を「悪化」させることが判明

精神科医

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※精神分析と暴露療法(エクスポージャー療法)は現代の脳科学で否定されています。

70年代から90年代までの脳に関する知識の多くは明らかな誤りであることが、今では証明されています。それなのに、現在標準とされているセラピーの多くは、なんとその頃、あるいはそれどころかもっとずっと昔に開発されたものなのです。

出典元:クラウス・ベルンハルト『敏感過ぎるあなたへ』

「暴露療法」については

で解説したのですが、今回は加えて「精神分析」の批判もしていこうと思います。メインは精神分析の概要と批判なのですが、

「愛着理論」に対する批判もしていきます。

なぜなら

愛着理論は暴露療法と精神分析の要素を併せ持っているからです。

愛着理論や愛着障害は精神医学に興味のある人たちの内では結構有名だと思うのですが、あまり詳しくないという方は

こちらをご覧ください。

1.時代遅れのカウンセリング法

暴露

1-1.暴露療法の批判

まずは暴露療法の批判からしていきましょう。

これ(暴露療法)がうまくいく場合は非常に限られているだけでなく、不安症がごく初期の段階にあるときだけです。10人のうち8人は、症状が悪化します。

出典元:クラウス・ベルンハルト『敏感過ぎるあなたへ』

その理由としてベルンハルト氏はこのように言います。

この療法を受けるたびに数百のポジティブなシナプスと同時に何千ものネガティブなシナプスができてしまいます。

出典元:同上

脳科学に詳しくなく、意味が分からないという方は

こちらをご覧ください。

1-2.精神分析の批判

精神分析は治療法というか「考え方」なのですが、どういう考え方なのかというと

成人期の心理的苦悩はそのすべてが幼年期、とりわけ親とのかかわりが深い時期の体験に起因するという考え抜かれたシナリオ

出典元:J.R.ハリス『子育ての大誤解』

教育研究科のJ.R.ハリス氏は皮肉を込めて「考え抜かれたシナリオ(つまり、フィクション)」と呼んでいるのですが、

天才心理学者のジグムント・フロイトが考え出したこのシナリオはあまりに見事だったため、

この考え方は世間や精神医学のみならず、社会学、哲学、文学、映画等の幅広い分野に、現在でも根強く残っています。

1-2-1.一種の暴露療法?

しかし、精神科医の岡田尊司氏はフロイトの考え方(精神分析)を批判しているようです。

その治療は知的なプロセスであり、ほとんど暴力的なまでの分析を患者に突きつけ、患者の心の奥底に隠れている醜い欲望の正体を暴き出し、それに向き合わせることで、回復をもららそうという、いわば“知的ショック療法”なのである。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

「醜い欲望の正体」というのはさて置き、精神分析も「過去のトラウマと徹底的に向き合わせる」という過程を取ります。

その意味では精神分析も一種の暴露療法だと言えるかもしれません。

※ただし、岡田尊司氏の愛着理論も後ほど見るように問題があります。

1-2-2.養育で全て決まるわけではない

次は精神分析の考え方に対する批判です。

子供時代がわらしたちの性格形成その後の人生に影響を与えることには、なんら疑問の余地はありません。しかしこの影響は、長い間思われてきたほど重要ではないのです。

出典元:クラウス・ベルンハルト『敏感過ぎるあなたへ』

フロイトが精神分析を創始した時は「成人期の心理的苦悩はそのすべてが幼年期の養育で決まる」というのは大胆な仮説でした。

この仮説を裏づけようとして様々な研究が行われたのですが、親の養育が子どもの性格や人生を決める」という科学的根拠は得られませんでした。

にもかかわらず、岡田尊司氏のような一部の精神科医は自分の主張に都合の良い研究結果だけを取り出して

「親(特に母親)の育て方は子どもの一生をほぼ決めることが明らかになった」と不安を煽っているわけです。

※詳細は

岡田氏が主張する

母親は、子どもの対人関係だけではなく、ストレス耐性や不安の感じ方、パートナーとの関係や子育て、健康や寿命に至るまで、生存に関わる影響を、それこそ生涯にわたって及ぼす。

出典元:岡田尊司『回避性愛着障害』

このような現代では否定されている考え方を信じ込んでいる人

こちらをお読みください。

※「性格」や「生きづらさ」の真の原因となるものについては

この2つの記事で精神分析や愛着理論への批判は大体できると思います。

1-3.愛着理論の批判

次は精神分析から派生した愛着理論に対する批判なのですが、

実は

愛着理論は「純粋な愛着理論」と岡田氏のような一部の精神科医による「拡大解釈された愛着理論」に分かれます。

1-3-1.拡大解釈された愛着理論

これは岡田尊司氏によって流布されている愛着理論です。

「安全基地が様々な症状や生きづらさをスーパーパワーで解決してくれる理論」と言えばピンと来る人も多いかもしれません。

※詳細は

これは完全に暴露療法です。

しかも

「安全基地」というむしろ症状を悪化させかねない概念を用いているため精神分析よりも質が悪いと言えます。

※「安全基地」の欠点については

1-3-2.純粋な愛着理論

次は純粋な愛着理論についてなのですが、これに立脚してカウンセリングをしている代表的人物は高橋和巳氏です。

高橋氏の主張は岡田氏を批判している箇所は特に示唆的なのですが、

かといって精神的トラブルを抱えた人にとって救いがあるかと言われれば、そうでもありません

※「純粋な愛着理論」については

2.一番たちが悪いのは…

精神科医

というわけで今回は、古いカウンセリング方法(暴露療法、精神分析、愛着理論)に対する脳科学的批判をかいつまんで見ていきました。

この中で圧倒的に劣悪なのは「岡田尊司流の愛着理論」でしょう。これは一言で言うと、

「親の不適切な子育てで愛着障害になった子どもはその後様々な不幸や生きづらさを抱える」という考え方です。

実際に「毒親」に育てられた人は徹底的にその記憶と向き合わされるので、むしろ逆効果かもしれません。

その一方で、

  1. 親のせいで愛着障害になる→「不幸」や「生きづらさ」を抱える。のではなく
  2. 「不幸」や「生きづらさ」を抱えている→カウンセラーの話を聞いている内に親の悪い部分ばかり思い出す
  3. その結果、自分は愛着障害だと思うようになる

という可能性もあります。

ポイントは第一章で見た【1-1.暴露療法の批判】です。この事を踏まえておかないと、

  • 「自分は愛着障害かも」と思い込まされた上に、親を逆恨みするようになる。
  • 「不幸」や「生きづらさ」を親のせいにすることで一時的にスッキリするが根本的な解決にはならず、カウンセリング料を取られて終わり。

という最悪な結果にもなりかねないので、くれぐれもご注意ください。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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