毒親⑫ 自覚なしに子どもを傷つける支離滅裂な親について


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今回紹介する「支離滅裂な親」はダン・ニューハースの著作に出てくるのですが、最初に言っておくと、このタイプの毒親はかなり特殊です。

ダン・ニューハースは精神障害を抱えた親やアルコール依存症の親を「支離滅裂タイプ」として想定しています。

スーザン・フォワードも「アルコール依存症タイプ」の毒親の特徴の一つを支離滅裂である事としているし、

さらに「支離滅裂な親」は、

水島広子氏の分類で言う所の「非定型発達タイプ」高橋和巳氏の分類で言う所の「Dタイプ」と被るところが多々あります。

水島氏によれば「非定型発達タイプ」は毒親の典型なので、「支離滅裂な親」も毒親の典型と言えるかもしれません。

いずれにせよ

「精神障害」「非定型発達」「アルコール依存症」という複雑な事情は、子どもの方にも大きなストレスを与えてしまうようです。

※今回はこれらの記事の補足のような位置づけで書いていきます。

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1.自覚なしに傷つける親たち

ダン・ニューハースによると、このタイプの毒親は、

過干渉な親」と「条件付きの愛情しか与えない親」の両方の性質を併せ持っているそうです。特徴をいくつか挙げましょう。

1-1.支離滅裂な親の特徴

  1. 溺愛したかと思うと急に冷淡になって突き放す。
  2. 同じことをしても厳しく叱る時と叱らない時がある。
  3. 何を言い出すか予測がつかない。
  4. 正反対の主張を同時にしたり、どちらとも取れる指示を与えたりして子どもを混乱させる。
  5. 頻繁に規則を変え、自分が規則を守らないこともある。

①②はまさに「過干渉」と「条件付きで愛する親の冷淡さ」の両方の性質があることを示唆しています。

さらに

「条件付きで愛したと思ったらその条件自体が急に変わる」ということもあるので、より子どもは混乱してしまうようです。

特徴リストだけではイメージしにくいと思うので事例をあげましょう。

1-2.アルコール依存症タイプ

ある23歳の女性のエピソードを紹介します。

私が小さな頃から、母はしょっちゅう言うことが変わり、暴力を振るったが、いつもその後で優しくなった。「後で宿題をしなさい」と言ってから1時間もたたないうちに、「いいから友達の家に遊びに行っておいで」と言うようなこともよくあった。

出典元:ダン・ニューハース『不幸にする親 人生を奪われる子供』

このように言うことがコロコロ変わる理由は、彼女の母親がアルコール依存症だったからです。

言動がすぐに変わったり、いつも情緒不安定なのは、アルコール依存症の人間にはよく見られる症状です。彼らは感情が常に変動し、中間の状態で安定を維持することができません。

出典元:同上

アルコール依存症にはレベルがあるので、常に情緒不安定なのは結構深刻な段階の話なのかもしれません。

例えば

この女性は幼い頃に交通事故にあい意識不明の重体に陥った時、数日間母親につきっきりで看病してもらったそうです。

この時はアルコール依存症ではなかったのか、軽度だったからなのかなどの細かい事情はわかりませんが、

基本的に、アルコール依存症の親はアルコールの影響さえなければまともな親だと言えます。

子どもがその事を理解している場合は「早くまともな親に戻って欲しい」と思うあまり虐待をされても離れられないということが多いのです。

これが「アルコール依存症の親から育てられた人特有の罪悪感」に繋がります。

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1-3.無自覚で反省しないタイプ

次は、ある53歳の女性のエピソードです。

母の理不尽ないじめは、子供時代ずっと続いた。子供ながらも理屈が通らないと思える理由で何かを強制されたり、何かを言われて「イエス」と答えても「ノー」と答えてもどのみち泣かされるのだ。

出典元:同上

何を言っているかわからない」「正反対の主張を同時にする」というのは支離滅裂な親の特徴でしたが、この母親の場合、

子どもが泣いても理不尽な主張を続けるというのが特徴です。

母親の中では「わがままな上に泣き虫な娘だ」と思うばかりで自分が言い過ぎたという考えは思い巡らなかったのかもしれません。

当然、子どもの方も「自分は悪い子だ」と思うようになります。

さて、この女性はある程度の年齢に成長した後、思い切って母親に質問をしたようです。

ある時は私たちが何かをしても母は何も言わず、次の日に同じことをすると怒りを爆発させた。私が質問しようとすると、母はわけのわからない理由をつけて「あんたは頭がおかしい」と言うのだった。

出典元:同上

客観的に見れば頭がおかしいのは母親の方ですが、この母親が「あんたは頭がおかしい」と言ったのは示唆的です。

これは反射的に出た言葉なのか、本当に「頭がおかしいのは自分ではなく娘の方だ」と思ったのかで話が全く異なります。

もし後者なら自分の行為に対する自覚や反省能力が著しく欠如していることになります。

たいていの親には「自分が悪いことをした」と反省する能力がありますが、この母親にはあまりないのかもしれません。

子どもを傷つけている無自覚な場合は「自分が悪いことをした」と思うことすらありません。

2.反省と期待

とは言え、水島広子氏などは

「お子さんが病気になってしまって、どのように接したらよいのか、親御さんもお困りだと思います。そのあたりで少しでもお力になりたいので、是非いらしてください」こういう頼み方をしてもなおいらっしゃらなかった親御さんはいません。やはり親御さんも本当に困ってしまっているのだと思います

出典元:水島広子『「毒親」の正体』

と言います。

つまり

たとえ「毒親」と呼ばれる親であっても、多少なりとも子どもへの愛情はあるということでしょう。

※ただし、水島氏はサイコパスのような毒親は例外にしています。

さらに言えば、自覚なしに子どもを傷つけている場合でも話し方次第では反省を促せるかもしれません。

毒親が反省しないよりも反省した方が子どもの精神にも良いので、親に反省する能力があるか否かを知るのは大事です。

しかし、スーザン・フォワードが言うように、

たとえある日突然、そういう親が優しい言葉を口にしたとしても、それだけで長く悲惨だった過去の日々が急に消え失せるわけではないであろう。長い間待ち望んでいたはずのその優しい言葉はむしろ表面的にしか感じられず、空しさばかりが残るというのが現実かもしれない。

出典元:同上

「空しさばかりが残る」のは親に期待し過ぎているからかもしれません。空しさではなく怒りが湧いてくる場合も同様です。

その時の自分の感情と照らし合わせて親に何をどの程度期待するかを決めるようにしましょう。

※毒親との対決の仕方トラウマの克服法については

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以上です。ありがとうございました。
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