ネグレクトは4種類 I 毒親や愛着障害と関係するのはどれ?


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「ネグレクト」と「毒親」と「愛着障害」の複雑な関係について。

「毒親」という言葉を作ったセラピストのスーザン・フォワードによると、毒親は7種類に分けられるようです。

その中には「義務を果たさない親」という分類もあるのですが、この親がまさにネグレクトに関わってきます。

しかし「義務を果たさない親」はスーザン・フォワード自身も

親が子供に暴力を振るったり、執拗にひどい言葉で傷つけたのであれば、その親が「毒になる親」であることは容易に見分けがつく。だが「すべきことをしない親」「義務を果たさない親」の場合には、主観的な要素もあるうえ、それがどの程度のことなのかという問題もあって、はっきり見分けをつけることが難しい。

出典元:スーザン・フォワード『毒になる親』

と述べるように定義が難しいようです。つまり、

  • ネグレクトを受けた子どもにはどのような影響が出るのか
  • そもそも何がネグレクトなのか/li>

を断定するのは難しいのです。これらの事を前提として話を進めていきましょう。

1.四種類のネグレクト

ネグレクトの定義についてはMSDマニュアルを引用します。

ネグレクトとは、子どもの身体的、情緒的、教育的、医学的な基本的ニーズを満たそうとしないことを言います。

出典元:MSDマニュアル家庭版

「基本的ニーズ」とありますが子ども自身が要求してくるわけではありません。ここが難しいポイントです。

ネグレクトの発見が困難な理由の一つに「被害を受けている子ども自身がそれが普通だと思いやすい」という事情もあります。

よって「ネグレクトを受けていないか」を社会の側がチェックしなければならないし、

さらに言えば

「子どもの成長に最低限必要なことは何なのか」の取り決めも社会が責任を持ってやらなければなりません。

さて、子どもが成長するには「身体的、情緒的、教育的、医学的」ニーズを満たさないといけないということなのですが、

裏を返せばネグレクトにも4種類あるということになります。

以下解説していきましょう。

1-1.身体的ネグレクトとは

不十分な食事・衣類・居住環境しか提供せず、監督保護も怠り子どもを危機に晒すこと。

人間には衣食住が大事なのは言うまでもありません。「不十分な」という基準が気になる方も多いと思いますが、

低栄養状態に見えたり、疲れていたり、不潔だったり、適切な服装をしていない場合や発育不良の場合があります。

出典元:同上

このように身体的ネグレクトを受けた子どもには目に見えた影響が出るようです。

監督保護」についてはアメリカなどでは特に何がこれに当たるのかが度々問題になるようですが、

「幼児を車に乗せたまま親がパチンコに生きそのまま死なせてしまう」という、たまに聞く悲惨なニュースを思い浮かべればよいでしょう。

1-2.医療ネグレクトとは

怪我や身体的・精神的な病気の治療を受けさせないこと。

他には虫歯の予防や治療を受けさせないことや予防接種や健康診断をほとんど受けさせないことも該当する可能性があります。

と言っても

予防接種は受けさせない家庭も多いようですし、受けさせないから直ちに医療ネグレクトになるわけではありません

身体的ネグレクトの徴候がある家庭の養育状況を調べるために、児童相談所に予防接種に関するデータが提供されるということがあるようです。

1-3.情緒的ネグレクトとは

無視したり拒否したり、他の子どもや大人と接する機会を無くして愛情を与えないこと。

これが最も見極めが難しいタイプだと言えるでしょう。

  • 情緒的ネグレクトによる子どもへの影響
  • 何が情緒的ネグレクトなのか

これらの判断は非常に困難です。確かに、子どもへの影響が観察できる場合もあります。MSDマニュアルでは

情緒的ネグレクトを受けた乳児は、発育不良に陥ることが多く、感情が欠落しているように見えたり、周囲に関心がないように見えたりすることがあります。情緒的ネグレクトを受けた小児の行動は、知的障害や身体的な病気と間違われることもあります。

出典元:同上

と記述しています。

これらは5歳までの小児が発症すると言われている「反応性愛着障害」や「脱抑制型対人交流障害」を念頭に置いた記述だと思いますが、

これらの愛着障害は「身体的ネグレクト」が原因かもしれないし「情緒的虐待」が原因かもしれないのです。

「情緒的虐待」とは要するに暴言を浴びせることですなのですが、

「身体的ネグレクト」をする親は情緒的ネグレクトもするだろうし、情緒的虐待も伴う場合もあるので、

情緒的ネグレクトのみの影響を取り出すのは難しいわけです。

しかし

愛着障害を拡大解釈し世間に流布している岡田尊司氏によると「愛情が不足していた」くらいでも情緒的ネグレクトになるようです。

にもかかわらず、岡田氏の解釈する情緒的ネグレクトは子どものストレス耐性や対人関係や健康面を一生左右する程のダメージをもたらします。

岡田氏の意見は極端にも思えますが、それだけ情緒的ネグレクトの解釈は難しいわけですね。

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1-4.教育的ネグレクトとは

学校に入学させない出席させない在宅教育をうけさせないこと。

これもネグレクトに当たるというのは意外だったのではないでしょうか。

確かに、子どもにとって同世代の人間と触れ合うことは非常に重要なのですが、「情緒的ネグレクト」と内容が被っています。

にもかかわらず

「教育的ネグレクト」という項目を設けた理由は社会問題化したからでしょう。

「身体面、心理面、教育、医療」というのは子育てにおいる基本的なファクターなのでバランスを取ったという理由もあるかもしれません。

2.ネグレクトと毒親の関係

次は冒頭でも触れた、ネグレクトと関係もある「義務を果たさない」タイプの毒親について解説するのですが、

まずはネグレクトに至る原因を確認しましょう、

ネグレクトや義務を果たさないと聞けば自己中心的な親と思われるかもしれませんが、そんな単純な話ではなく、

ほとんどの場合が、親が精神疾病を抱えていたり経済的な不安を抱えていたりなどといった事情があるのです。

2-1.育児ができない原因

ネグレクトは経済的ストレス環境ストレスのある貧困家庭で発生することが多く、特に、親に精神障害(典型的にはうつ病、双極性障害、統合失調症)、薬物またはアルコールの乱用、または知的障害などがみられる場合に、その傾向が強まります。

出典元:同上

もちろん、ただ単に自己中心的な親が起こす場合もあります。その場合は親に反省を促すしかないのですが、上記のような事情がある場合、

ただ単に親を批判するだけでは意味がありません。親を支援する何らかの枠組みが必要です。

2-2.親の4つの義務

実は、スーザン・フォワードが「義務を果たさない」タイプの毒親として紹介している事例は全て親が何らかの問題を抱えているパターンです。

そもそも、スーザン・フォワードは親の義務をどのように考えていたのでしょうか。まとめましょう。

親が子どもに果たすべき4つの義務

  1. 身体面・健康面の世話→衣食住の提供、病気やケガを治す、幼児の場合おむつを変えるなど
  2. 身体的な危機から守る→一人で行動させない、車内に放置しないなど
  3. 精神面の世話→愛情や安心感を与える、スキンシップを取るなど
  4. 精神的な危機から守る→精神的なケア、子どもらしく過ごさせるなど

このように4種類のネグレクトの考え方と非常に近いのがわかります。

「この内、どれをどの程度満たさなければ毒親」という基準はないのですが、スーザン・フォワードが力点を置くのはです。

「義務を果たさない」タイプの毒親の特徴を一言で言うと、

親が自分の責任を子供に押しつけている家庭では、家族のメンバー間の役割の境界線がぼやけ、ゆがめられ、あるいは逆転してしまっている。子供は自分で自分の親の役を演じなくてはならず、時には親の親にまでならざるを得ない

出典元:スーザン・フォワード『毒になる親』

この逆転現象こそが毒親問題を複雑にしている原因です。

2-3.ネグレクトによる脳への影響

親の義務①②の放棄や身体的ネグレクトマルトリートメントの観点からは非常に危険な行為です。

なぜなら

子どもに過剰なストレスを与え脳を傷つけるかもしれないからです。

これらの行為は命や健康に関わるだけではなく脳を委縮させ、子どもの言動や人格に影響を及ぼしかねないわけですね。

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2-4.ネグレクトの子が抱えた真の問題

しかし毒親の観点から言えば厄介なのは

親の代わりに家庭の世話をしなければならなかったのにもかかわらず、子どもが何らかの問題を抱えた親に同情している場合です。

毒親は一言で言えば「子どもの人生を支配する親」を指すのですが、脳へのダメージトラウマで支配するだけではありません。

一種の「罪悪感」も子どもの人生を親に縛り付けてしまいます。

「何らかの問題を抱えた親」は子どもが自立した後も子どもの支援を求めている場合もあります。

その前に「自立するわけにはいかない」と思わせてしまうかもしれません。

もしあなたが「義務を果たさない親」の子供だったなら、あなたは「親が抱えている問題の責任は、彼ら自身にある」ということを知らないまま成長している可能性がある。

出典元:同上

決して親を見捨てろと言っているわけではありませんが、「親が抱えている問題の責任は彼ら自身にある」ということを納得しなければ

罪悪感に押しつぶされてしまう可能性もあります。

ネグレクトを受けた子が抱えた問題や必要な支援というのはこのように一筋縄ではいかないわけですね。

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以上です。ありがとうございました。
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