「親の責任」派 vs「親を悪く言うな」派 | でも一番悪いのは〇〇

悪人

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今回は精神科医の水島広子氏の言葉の引用から始めましょう。

ある程度の年になった子どもは、親が自分にもたらした「悪影響」について考えるようになります。そして、自分の生きづらさと、それらの「悪影響」を関連づけるようになります。

出典元:水島広子『「毒親」の正体』

そして我々は、

  • 子育てにおける親の責任を問う「親の責任」派
  • ある程度の年齢になったら自己責任なんだから「親を悪く言うな」派

この2派に分かれます。

どちらになるかは自分の家庭環境によって大きく左右されます。

例えば「毒親」に育てられた方はほとんどの場合「親の責任」派になるのではないでしょうか。

しかし

家庭環境は良くなくても、自立して社会的成功を収めた方などは「子ども時代の苦労が今に繋がるのだから親を悪く言いうべきではない」

というふうに考えるかもしれません。

このように様々な経験現在の幸福度によってもどちらの派閥に入るかは決まるのですが、

今回は見落とされがちな「第三勢力」について書いていきます。

※なお、今回の記事は「毒親」と「愛着障害」にも関わるので

こちらも併せてお読みください。

1.やたらと強調する人たち

クレーマー

例えば何かの事件が起こり、その犯人の子ども時代の家庭環境が問題になったとします。

「親の責任」派の人はその親を責めたくなるでしょうし、それに対して違和感を持つ人もいます。

これに関しては冒頭でも触れた通り、自分の育った環境がそれぞれ違うので仕方ないのですが、

精神科医やコメンテーターの中でやたらと家庭問題を強調する人たちを見たことはないでしょうか。

客観的事実を淡々と述べるのならば別に良いのですが、その精神科医やコメンテーターが「愛着理論」を持ち出したら要注意です

1-1.虐待事件と精神科医

国民的関心事となった目黒区女児虐待死事件では、事件の残酷さと共に犯人である船戸雄大氏の生い立ちも問題になりました。

虐待死事件を起こした船戸雄大氏自身も父親から虐待を受け、頭蓋骨が変形する程の暴力を受けたこともあったようなのです。

確かに

「虐待は脳を変形させる」とも言われているため、父親の虐待が船戸氏の人格を歪め、事件に影響したことも否めません。

しかし、問題なのは話を飛躍させて

「親が甘えさせてくれなかった」くらいの事でも子どもの人格が歪んでしまうと主張する人たちがいることです。

目黒区女児虐待死事件でも「愛着スタイル」の話をする精神科医だかコメンテーターだかがいましたが、その人物が典型です。

1-2.岡田尊司と愛着理論

「愛着スタイル」は愛着理論をご存知の方なら知っていると思いますが、

※知らない方は

これを熱心に広めているのは精神科医の岡田尊司氏でしょう。

愛着理論をご存知の方のほとんどは岡田氏が解釈したバージョンの愛着理論の知識を持っているのだと思います。

これから見ていくように岡田氏の考え方は「親の責任」派 の立場を強力に後押しするものなのですが、

「岡田氏が解釈したバージョンの愛着理論」は様々な専門家からの批判が多くあることも知っておいて下さい。

2.「母親の責任」派代表・岡田尊司

精神科医

岡田氏の思想を端的に表した箇所はここでしょう。

本当に治療を施すべきは、見えないところで手を引き、病を引き起こしている存在-ときには善意の顔をして、「患者」を守っているはずの存在だったりする

出典元:岡田尊司『愛着障害の克服』

2-1.見えないところで手を引く存在

「善意の顔をして、患者を守っているはずの存在」というのは親(特に母親)のことです。

見えないところで手を引き」というのも岡田氏らしい言葉でしょう。

岡田氏の愛着理論は

「見えない=幼児期の記憶がない」ことを言いことに、あらゆるトラブルの責任を幼児期の親の育て方に求めようとするもの

と捉えることもできます。もう少し、岡田氏の思想を辿りましょう。

2-2.あらゆるものに対する責任

生まれてから1歳半からくらい、せいぜい2歳までが、愛着が成立する上でのタイムリミットである。(…)この時期に愛着が形成されなかった場合、子どもは、養育者との間に安定した愛着を持つことができないだけでなく、誰との間にも安定した愛着を育むことが困難となる。

出典元:岡田尊司『回避性愛着障害』

「愛着」とは強い心の絆のことで、特に親子間に芽生えるものを指すのです。

※「愛着」を形成するためには十分に愛情を与えなければなりません。

また、父親よりも母親との心の絆が重要らしいです。

母親は、子どもの対人関係だけではなく、ストレス耐性や不安の感じ方、パートナーとの関係や子育て、健康や寿命に至るまで、生存に関わる影響を、それこそ生涯にわたって及ぼす。

出典元:同上

ということは、

母親は子どもの「対人関係」「ストレス耐性」「恋愛が上手くいくか」「健康面」に生涯にわたって責任を負わなければならないわけです。

このように岡田氏は「親の責任」派というよりは「母親の責任」派だと言えます。

※どうして母親だけが責任を負わされるのか納得いかない方は

2-3.罪悪感と責任

「2歳までがタイムリミット」と書いていることにも注意しましょう。

「人間は物心つく前(3歳まで)のことは覚えていない」と一般的には言われるのですが、それよりさらに前の「2歳まで」

母親は子どもと強い心の絆を作らなければならないようです。

しかし、岡田氏は

物心つく前のことは、本人も覚えていないし、母親自身忘れているということも多い。

出典元:岡田尊司『発達障害と呼ばないで』

とも言っています。

つまり、2歳になるまでに母親から十分に愛情を受け取っていたかなど誰も覚えていないのです。

ところが

覚えていないだけで本当は十分に子どもを愛していなかったのだ!」と言われれば大抵の母親は罪悪感を抱きますよね。

そして母親は子どもを不幸にした張本人にされてしまうのです。

※自分は3歳以前の事を覚えているという方は

3.毒親との関係

否定するヒヨコ

毒親被害者」の方が自身の生きづらさを「愛着障害」と関連づけているのをよく見かけますが、それは厳密ではありません

確かに

毒親と関連づけられる愛着障害もありますが、ほとんどの愛着障害は毒親とは関係ありません

※「愛着障害」には大きく分けて2通りの解釈があります。

特に岡田尊司氏が超拡大解釈した愛着障害(広い意味での愛着障害)

  1. 親のせいで愛着障害になる→「不幸」や「生きづらさ」を抱える。のではなく
  2. 「不幸」や「生きづらさ」を抱えている→カウンセラーの話を聞いている内に親の悪い部分ばかり思い出す
  3. その結果、自分は愛着障害だと思うようになる

という可能性も大いにあるので要注意です。

4.儲けようとする精神科医やコメンテーター

悪人

冒頭にも触れた水島広子氏は、毒親問題に際して

「私は徹底的に患者さんの味方だ」と言う一方で、過剰に親を叩きたがる医者に対して苦言を呈しています。

毒親から過度なストレスを継続的に受けると精神的に参ってしまうだけではなく、毒親に反発する気力すらもなくなるのは確かです。

だからと言って

毒親を叩いて一時的にスッキリしても根本的な解決にはならないというのが水島氏の意見です。

※水島氏が「毒親の克服法」をどう考えているかについては

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D

岡田尊司氏も

親にすがらなければ生きていけない身であるがゆえに、どんな親であろうとたてつくこともできず、親を悪く思うことさえも難しい。

出典元:岡田尊司『愛着障害の克服』

と言っています。

確かにその通りだと思いますが、これは「毒親被害者」に対して言えることです。

「親を悪く思うこと」が難しいと言いつつ、無理やり「親が悪かった」と思い込ませるようなことをしていないかに注意すべきでしょう。

というわけで、今回の結論を言いますが

「親の責任」派 vs「親を悪く言うな」派はどちらもにも理がありますが、親子間の対立を過剰に煽る人たちに注意しましょう。

さらに言えば「親子間の対立を過剰に煽る」ことで儲かる精神科医やコメンテータもいることにも要注意です。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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