大衆社会とは | 成立した背景や条件、問題点も解説


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今回は「大衆社会」について解説していきます。

大衆社会とは…悪い社会のことです!

もちろん

「大衆」の3つの意味の内、一般的な意味で「大衆」および「大衆社会」を捉えると悪い社会とは言えません。

しかし「大衆社会」と言った時は多くの場合社会学的な観点から語られるので、否応なしに悪い社会として捉えられます。

社会学・政治学的な意味での「大衆」の詳細については

こちらを読んで欲しいのですが、わかりやすいように一言で言うと、

思想家の西部邁氏の言葉を借りれば大衆とは「劣等な質を持つ人々の群れ」のことです。

そういった人々が跋扈している社会が「大衆社会」なのですが、大衆社会が登場した時代背景から順を追って説明していきます。

1.いつから大衆社会は始まったのか

大衆社会は19世紀末から20世紀初めに成立したと言われています。この時期に何が起こったのかというと…

  • 市民階級(中産階級)の没落→資本主義が発展し格差が生まれ、教養や資産を持った人々が減少した。
  • 大衆民主主義の出現マスメディアの発達により少数のエリートが多数の受け身の人々を管理するようになった。

それぞれ解説しましょう。

1-1.市民階級の没落

「市民階級」はブルジョワジー bourgeoisieの語訳なのですが、ブルジョワジーは「中産階級」とも「有産階級」とも訳されます。

でも

「中産階級」と「有産階級」は明らかに違いますよね。

「中産階級」→ある程度豊かな人々。「有産階級」→資本家や地主などの金持ち。といった感じです。

いずれにせよ、中産・有産階級の人々の没落とともに「大衆」が台頭してきたのですが、このように書くと

「貧困層=大衆」というふうに思われそうですがそういうわけではありません。これについては後述します。

1-2.大衆民主主義とは

民主主義の一形態で、普通選挙の実現により大衆も政治に参加できるようになった民主主義の社会のことを言う。大衆デモクラシーとも呼ばれる。

出典元:Wikipedia

これだけ読むと素晴らしいことにも思えるのですが、やはり「大衆も政治に参加」というのがポイントです。

大衆には自分でものを考えずマスメディアに作られたカリスマに熱狂するという弱点があるので主権者になりきれません。

対して「市民」は主権者としての自覚がある人々のことを指します。しかし、先述した通り「市民階級」は没落してしまいましたよね。

確かに

ブルジョワジーを「金持ち」と訳すと嫌な感じですが、同時に政治や社会に関心のある「市民」でもあります。

現代の日本でも世田谷辺りに住んでいるお金持ちはバードウオッチングしながら「あれはウグイスじゃなくてメジロだよ」とか言うんですが、

政治や社会のことに関心がある人が多いですよね。そのような人々が没落してしまったというわけです。

1-3.市民社会との関係

市民階級の没落により「大衆社会」が成立したのならば、それ以前の社会は「市民社会」だったと言えます。

し みんしゃかい -くわい [4]【市民社会】

自由・平等な個人が、自立して対等な関係で構成することを原理とする社会。封建的な身分制度を打破した市民革命によって成立した社会。ブルジョア社会。

出典元:三省堂 大辞林 第三版

市民社会や市民革命を礼賛する人は多くいます。

確かに

自由・平等な個人が、自立して対等な関係で構成することを原理とする社会」は素晴らしいですが、あくまで建前の話です。

実際、市民革命によって力を持ったのは先ほど見たようにブルジョア、つまり「有産階級」だったという側面もあります。

マルクス主義者などは市民革命をブルジョア革命=ブルジョアが支配者になる為の革命と言って批判しています。

さらに、

エドマンド・バークは「フランス革命を起こしたのは弁護士や文筆家に煽動された民衆だ」と言って市民革命を批判しています。

バークは「大衆」という言葉は使っていないものの「煽動された民衆」は大衆を彷彿させますよね。

「大衆」と「民衆」の違いについては

つまり

大衆社会はいつから始まったかと言えば「19世紀末から20世紀初め」なのですが、それ以前の市民社会にもその萌芽はあったのです。

まあ、当時の市民階級にも立派な方もいたと思うのですが、全体としては「市民社会」は優れたものとは言えず

ましてやそれを劣化させた「大衆社会」は劣悪だということです。

2.大衆社会を成立させた5つの条件

次は大衆社会を成立させた5つの条件をまとめます。これは大衆社会の特徴でもあります。

  1. 経済、政治、軍事などの組織が巨大化したことによる官僚制度の進行。
  2. 産業や科学技術の発達により大量生産・大量消費が可能になり、人々の生活水準が画一化した。
  3. 交通・通信・マスメディアの発達により、世界が狭くなり大規模な流行が生まれ大衆文化や大衆娯楽が栄えるようになった。
  4. 都市化が進み地域社会との繋がりが絶たれた個人は流行に乗りやすい。
  5. 大衆民主主義の確立。

「大衆民主主義」については先述しましたが、補足すると

群衆や市民→大衆と選挙権が拡大していくことが民主主義の発展だという人もいますが、同時に有権者の資質も問われます。

大衆社会はポピュリズム全体主義への危険性が付き物だと言われますが、まあそれについては後日話します。

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官僚制度についてもマックス・ウェーバーの話と絡めて後日します。

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2-1.産業革命・第二次産業革命

市民革命の話はしましたが、産業革命が大衆社会に与えた影響も無視できません。

時期的にはイギリスから始まった産業革命とそれがドイツやアメリカなどに伝播してさらなる産業革新が起こった第二次産業革命が関係あります。

この時代には、化学、電気、石油および鉄鋼の分野で技術革新が進んだ。消費財の大量生産という仕組み面の発展もあり、食料や飲料、衣類などの製造の機械化、輸送手段の革新、さらに娯楽の面では映画、ラジオおよび蓄音機が開発され、大衆のニーズに反応しただけでなく、雇用の面でも大きく貢献した。

出典元:Wikipedia

つまり、5つの条件の内②③④に関わるのです。

2-2.マスメディアの発達

しかし大衆社会を成立させた最も大きな要因は、やはりマスメディアの発達でしょう。

大衆というのは、マスメディアの煽動に羊の群れのようについていく(トックヴィルの意味での)個人主義たちのことである。

出典元:西部邁『保守思想のための39章』

※マスメディア→新聞・雑誌・ラジオ・ テレビなどの総称のこと。

トックヴィルは大衆社会論の元祖に当たる人です。注意して欲しいのはトックヴィルの時代のマスメディアとは新聞のことだと言うことです。

しかし

現在は新聞だけではなく雑誌もラジオもテレビもありますよね。それだけ大衆社会は発展したわけです。

中でも強力なのはテレビでしょう。

テレビはこのような生活様式を採れば幸せだとかこれを知っていないと時代遅れだという感覚を非常に多くの人に植え付けることができます。

しかも文字であったら頭を使うのですが、テレビはそれらを映像によって刷り込むので大衆を大量生産できます。

ちなみに

西部邁氏は英語の「mass」は大衆ではなく「大量人」と語訳すべきだと主張していました。

大衆と訳すと「庶民」と混同されやすいので。

※「大衆」と「庶民」の違いは

3.問題点と課題

大衆=大量人」は経済を動かすというメリットもありますが、

「画一化された個人の群れ」に過ぎないので主体的に生きることができず、絶えず寂しさや物足りなさを抱えることになる

という問題点もあります。

※このような生き方に異を唱えるのが「実存哲学」です。

大衆社会の問題点は基本的に

自主性や判断力の無い個人がマスメディアに煽られて全体主義になる

などといった政治的観点から行われてきました。しかしフランクフルト学派以降は

「大衆的スターの追っかけとその消費活動で人生を消耗する大衆の心理とは?」のような文化論的観点からも大衆社会は捉えられています。

フランクフルト学派と聞くと「フランクフルトソーセージ?なんだかお腹すいた(´・ω・`)」みたいに思う人もいるかもしれませんが、

かなり良いことを言っている人たちなので興味のある方はこちらも読んでください。

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また、リースマンが提起した「他人指向型」の人間は大衆社会が生みだした人々の行動や課題を上手く言い当てているでしょう。

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他人指向型

さらに、

大衆的シンボルの消費週に1,2日与えられた余暇に甘んじている大衆は資本家によって社畜にされている事実から目を背けている

などと言えばマスクス主義的な大衆社会批判になるでしょう。

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以上です。ありがとうございました。
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