暴露療法は効果がない?| 行動療法と認知行動療法の違いも解説

暴露

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※暴露療法(エクスポージャー療法)の効果は現代の脳科学で否定されています。

今回は「暴露療法」を紹介しますが、効果がないばかりか逆効果ですらあることが証明されていることをまずは指摘しておきましょう。

これ(暴露療法)がうまくいく場合は非常に限られているだけでなく、不安症がごく初期の段階にあるときだけです。10人のうち8人は、症状が悪化します。

出典元:クラウス・ベルンハルト『敏感過ぎるあなたへ』

このことを念頭に置きつつ読み進めていって下さい。

1.暴露療法とは

精神科医

暴露療法の定義についてはWikipediaのものに注釈を入れるという形で紹介しましょう。

不安障害に用いられる行動療法の技法である。この技法では、不安や苦痛を克服するため、患者が恐怖を抱いている物や状況に対して、危険を伴うことなく直面させることとなる。全般性不安障害、社会不安障害、強迫性障害、PTSD、特定の恐怖症などの障害の治療について、さまざまな研究においてその有効性が裏付けられている。

出典元:Wikipedia

アンダーラインだらけになってしまいましたが、線を引いたところを中心に解説していきましょう。

1-1.認知行動療法と行動療法

行動療法は「認知行動療法」とは別物です。というか、ある意味真逆のものです。

認知行動療法、略して「行動療法」と思っている方もいるようですが、違います

認知行動療法は略して「認知療法」です。それだけ「認知」に重きを置いているわけです。

それでは「認知」とは一体何なのでしょうか。

1-1-1.認知とは

「認知」とは「外界にある対象を近くした上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程」と説明できます。

出典元:大野裕『はじめての認知療法』

解釈」が現実と乖離している場合、それがストレスになり生きづらさ不安症、うつ病などの病気になる可能性があります。

1-1-2.認知行動療法の狙い

認知行動療法は「解釈」を適正なものにしたり、「解釈の仕方の癖」を見つめ直したりします。

一方の行動療法は「行動」に働きかけます。

1-1-3.行動療法の狙い

行動療法においては、外部から測定できる「行動」を対象とします。そして、行動を「強化」あるいは「弱化」して、制御していくことを目的とします。

出典元:四谷学院通信講座-行動療法と認知行動療法、2つのちがいとは?

「行動を強化する」というのは

望ましい行動をした時に褒めたり、ご褒美をあげたりして良い体験をさせることで、その望ましい行動が繰り返しできるように促す

ということなのですが、これはB.F.スキナーが創始した行動分析学の典型的な考え方です。

「行動分析学」は人生の方向づけすら可能にする学問だともてはやされた時期もありましたが、今では下火になってしまいました。

ですが、医療の現場で使われていたようです。

1-1-4.使い分け

最近の現場では、認知行動療法がメジャーとなっていますが、障害のある子どもの療育などでは、行動療法の考え方が使われています。

出典元:同上

このように認知行動療法と行動療法は使い分けることが肝心なようです。

1-2.恐怖に直面させる

そんな行動療法の一部が「暴露療法」なのですが、

一言で言うと

暴露療法とは恐怖に慣れさせることによって恐怖を克服させる方法のことです。

トラウマ的状況にあえて直面させることによって「そこまで恐ろしくなかった」という経験を得られるようにするわけです。

「逃げていてもしょうがない」「どんなに不安でも、飛びこんでいくしかないんだ」-そう腹をくくるのである。すると、不思議なことに、それまで不安で、怖くて、とても近寄れないと思えた状況が、それほど大したことではないように思えてくる。

出典元:岡田尊司『回避性愛着障害』

トラウマ的状況を再現できない場合はその状況を思い浮かべるようにします。

誰からも声をかけてもらえず、白い目で見られることを恐れているのなら、その状況を想像してみる。失敗して、みんなから笑われたり馬鹿にされたりする状況を恐れているのなら、敢えてその状況を積極的に思い浮かべてみる

出典元:同上

しかし、これこそがまさに現代の脳科学で効果が否定されている部分です。

1-3.現在は否定されている

暴露療法の有効性は現在では否定されているのにもかかわらず、今でも多くの診療科では暴露療法が行われています。

70年代から90年代までの脳に関する知識の多くは明らかな誤りであることが、今では証明されています。それなのに、現在標準とされているセラピーの多くは、なんとその頃、あるいはそれどころかもっとずっと昔に開発されたものなのです。

出典元:クラウス・ベルンハルト『敏感過ぎるあなたへ』

このように「科学的な知見」と「医療現場でのカウンセリング」にギャップが生じるのには理由があります。

最新の科学的知見が医療の現場で使われるまでには

「論文を書く→様々な専門家に検証される→教材を書いて次世代の医者を育てる」という長いプロセスが必要なのです。

※暴露療法が否定されている理由については

1-4.愛着障害にも使われる

Wikipediaには「全般性不安障害、社会不安障害、強迫性障害、PTSD、特定の恐怖症などの障害の治療」に使われると書かれていますが、

愛着障害」の治療にも使われるようです。

「愛着障害」と言えば、精神医学に興味のある人たちの内では結構有名だと思うのですが、その治療法は一種の暴露療法です。

治療方法の詳細は

こちらにまとめたので興味のある方は読んで欲しいのですが、治療過程で最も重要なのは

(親に)傷つけられた怒りや悲しみを、恨みつらみを込めて叩きつけるように語り続ける。それは、傷が深ければ深いほど、傷を与えられた期間が長ければ長いほど、長期間続く事になる。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

このように「(親に)傷つけられた体験」と徹底的に向き合わせるわけです。この時注意してほしいのは

「親に傷つけられた」というのが思い違い(歪められた記憶)でも、その記憶に徹底的に向き合わせるという点です。

精神分析」の創始者であるフロイトカウンセラーが患者の記憶を歪めることもあることに警鐘を鳴らしたのですが、

岡田尊司氏はそれを無視した「愛着理論」を普及させようとしているのです。

2.精神分析も問題

暴露

とうわけで「精神分析」と「愛着理論」の名前が出てきました。おそらく、この2つは暴露療法よりかは知名度があると思いますが、知らない方は

これらの記事をご覧ください。さて、今回の記事との絡みで言うと、

実は

「精神分析」の手法も現代の脳科学で否定されています。そして「愛着理論」は暴露療法と精神分析の要素を併せ持っています。

最後にもう一度言いますが、ベルンハルト氏は「暴露療法を使うと10人のうち8人は症状が悪化する」と述べています。

今回のタイトルは「暴露療法は効果がない?」ですが、厳密には

暴露療法は不安症や生きづらさの克服に効果がないどころか、むしろ逆効果の場合があるのです。

今回の記事を読まれた方は何らかの精神的トラブルを抱えた人がほとんどだと思いますが、

脳科学の常識に基づかない暴露療法、精神分析、愛着理論等によるカウンセリングを受けると症状が悪化する可能性がある事に注意しましょう。

次回は最新の脳科学に基づいたカウンセリングについて書いていきます。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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