その生きづらさは「毒親のせい」か「愛着障害のせい」か

カウンセラー

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今回も引き続き「精神科医・岡田尊司氏のめちゃくちゃな診断」について書いていきます。

前回は「愛着障害にはなり得ない人を無理やり『愛着障害者』と診断する岡田氏」について

前々回は「発達障害者を無理やり『愛着障害者』と診断する岡田氏」について

書きましたが、今回は「毒親被害者を無理やり『広い意味での愛着障害者』と診断する岡田氏」について書いていこうと思います。

※今回の記事も「愛着理論」の知識が前提となるので、

こちらも併せてお読みください。

1.毒親と愛着スタイル

毒

愛着障害と「毒親」や「アダルトチルドレン」は関係ない?では、いわば

「まともな親」すらも「毒親」のように扱い、親子関係を破綻に向かわせかねない岡田尊司流愛着理論の恐ろしさについて書いたのですが、

今回のケースは少し違います。

1-1.Xさんの例

大学に通うXさんはうつ病になりました。しかし、実はXさんは高校生の頃から

  • 過食症になっていた。
  • 友人関係が上手くいっていなかった(過剰に気遣う、傷つきやすいなど)。

などの問題を抱えていました。一方の母親はというと、

少しでも不満を言うと、母親の方がイライラして、こちらが悪いように責めてきたり、勝手な助言ばかりしてきてうるさいので、次第に本音はいわなくなっていたのだ。

出典元:岡田尊司『愛着障害の克服』

どうやらXさんが精神的トラブルを抱えた原因は母親にあったようです。

1-2.Xさんの母親の性格

岡田氏によると

母親は娘の実現に向き合うよりも、自分が期待する、勉強もスポーツもこなし、すべて従順な理想の娘だけを求めてしまっていたのである。

出典元:同上

自分の「理想」を押し付ける。しかも、「従順さ」を求めるということは娘の意見を聞かないということです。

この特徴を聴いて、知識のある方は「xさんの母親は毒親だったのだ」と思うでしょう。

厳密に言えば、スーザン・フォワードの分類における「コントロールばかりする」タイプの毒親です。

ほとんどの人はそのように判断するでしょうが、一部の精神科医は少し違った判断を下します。

1-3.安全基地は関係ない?

岡田氏の発言には続きがあります。

娘は、困っても愚痴をこぼすこともできず、安全基地として機能しなくなっていた

出典元:同上

ここで急に「安全基地」が出てきます。

しかし

毒親は継続的にストレスをかけるから子どもに精神的トラブルを起こすのであって、安全基地は別に関係ありません

※「安全基地」の詳しい定義について

※「毒親」の詳しい定義については

岡田氏はここで「安全基地」を無理やり持ち出すことで、愛着理論の正当性をアピールしたいのでしょう。

1-4.原因と結果の入れ替え

さらに岡田氏は

周囲の顔色に敏感で、気ばかり遣ってしまう点は、不安型愛着の特徴だといえるが、母親に支配され、母親の意向に逆らえずに育ってきたことが、その傾向を強めてきたと思われる。不安型の愛着が、対人関係を行き詰まらせる要因にもなっていた。

出典元:同上

これまた急に「不安型愛着」、つまり不安型愛着スタイルを持ち出します。

※「不安型」愛着スタイルについては

「周囲の顔色に敏感で、気ばかり遣ってしまう点」は「母親に支配され、母親の意向に逆らえずに育ってきた」結果身に付いた

と考えられるのですが、

「それ以前に不安型愛着の傾向があった」というのはどういう事なのでしょうか。

親の養育以前に「そのような傾向」があるとしたら、生まれつきの傾向としか考えられないですよね。

もちろん愛着スタイルは「生まれつきのもの」ではないので、岡田氏の理論は破綻していると言えます。

※もちろん、毒親の虐待によって発症するタイプの愛着障害もあります。

2.愛着理論は必要か?

カウンセラー

xさんのケースが記載されている著作は『愛着障害の克服』(岡田尊司著)です。この著作をお持ちの方は確認して欲しいのですが、

岡田氏がカウンセリングが成功したと言っているケースは全て「愛着理論」がなくても成功しています。

患者の病の原因となっている「毒親」に働きかけることで、その病を解決するわけですね。

しかし、それは別に愛着理論とは関係ありません。

※この場合の愛着理論は主に「岡田尊司流愛着理論」です。

岡田氏は別の著作で

愛着障害や不安定型愛着に対する治療というのは、今のところ未発達の分野である。治療者も、それらをどう扱えばよいのかということについて、ごく一部の例外を除いて認識も経験も乏しいのが現状である。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

と述べていました。

つまり

愛着障害や不安定型愛着に対する治療はやり方がわからないし、治療者もいないということですね。

※ただし「ごく一部の例外を除いて」と言って、あたかも自分はその一部の例外だということを匂わせている点にも注意しましょう。

その理由は岡田氏の「愛着障害や不安定型愛着」に対する考え方がデタラメだったからなのですが、

岡田氏は「ついにカウンセリング方法が見つかった」という形で「愛着アプローチ」なるものを提案します。

しかし、これは「対人関係療法」などの焼き直しで別に新しいものではありません。

岡田氏の扇動は凄まじく、

3人に1人は愛着障害者だ!」「愛着障害者は頭のおかしい嘘つきだ!」「発達障害は実は愛着障害だ!」

などと散々世間が食いつきそうな発言をしながら「自分はその解決方法を知っている」と思わせた挙句、

その解決方法は既存の治療法の焼き直しでしかなかったというわけです。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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