「カウンセラーを頼れ」 恋人やパートナーと破局させる理論

金

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前回(愛着障害の子どもや恋人への対応は5つのポイントを意識しよう)は「安全基地」の特徴について解説しました。

この記事の中で、精神科医・岡田尊司氏の

一生付き合う覚悟で、腹を据えて、その人に関わろうとしている非専門家や家族の方が、愛着障害の修復という点では、大きな力となるだろう。実際パートナーや恋人が安全基地となって受け止めた結果、安定していくケースも多い。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

という言葉を引用し、

「一生付き合う覚悟を持て」という岡田氏の重い警句はさて置き、安全基地=コミュニケーションが上手い人くらいに捉えると良い

と述べました(もちろん一生付き合う覚悟を持つことは良いことです)。しかし、問題は「岡田氏の恋愛観が重い」というだけではありません。

岡田氏の治療法を実践すると、「安全基地」が患者の生きづらさや症状を悪化させる可能性があるのです。

今回はこの点をまとめていきます。

※今回の記事も「愛着理論」の知識が前提となるので、

こちらも併せてお読みください。

1.不安型と「安全基地」

安全ヘルメット

一応おさらいしておくと、

愛着の課題を克服するためには、安全基地となる存在の媒介が、通常は不可欠である。

出典元:岡田尊司『愛着障害の克服』

このように「安全基地となる存在」は愛着障害の治療を担います。

そして

「安全基地となる存在」としてふさわしいのは、冒頭の引用文で岡田氏が言っているようにパートナーや恋人です。

つまり、愛着障害の改善は恋愛などの情緒的な触れ合いの中で起こるというわけです。

以上のことを踏まえて「愛着障害の治療法」について見ていきましょう。

1-1.愛着障害の治療過程

愛着障害(不安定な愛着スタイルも含めて)の治療過程については

こちらに詳しくまとめたので読んで欲しいのですが、その中でも注目して欲しいのは

自分のことをもっと見てほしいと思い、相手の関心が十分に自分に向けられていないことに腹を立てる。そのくせ、自分の方から素直に甘えなくなり、つっけんどんな態度をとって、相手に不快な思いを味わわせようとしたりする。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

この「安全基地の愛情を執拗に確かめる段階」です。これは岡田氏が

この時期が、回復への過程において、もっとも重要な局面だと言える。

出典元:同上

というほど愛着障害の治療においては重要な段階です。

また、岡田氏は「相手に不快な思いを味わわせようとする」ことが重要な理由として

依存している愛着対象から分離と自立を遂げていくという大きな課題に向き合っているときだと言える

出典元:同上

ということを挙げていますが、ここは非常に重要なので整理しましょう。

1-1-1.いったん依存する

「依存している愛着対象」と言っていることから、愛着障害の治療には一旦「安全基地」に依存する段階が必要なことがわかります。

1-1-2.次いで自立する

しかし「安全基地」にかまってもらったり、不快なことをしても受け入れてもらったりしている内に心が満たされることで、

自立に向かっていき、そのことが愛着障害の改善につながる

ということでしょう。

1-2.「不安型」の人の特徴

次は「不安型」愛着スタイルの人の特徴についてです。詳しくは

こちらを読んでいただきたいのですが、一言で言うと

「不安型」の特徴は、他人に依存しやすいというものです。

「見捨てられる」という不安が強いため、自分が愛されていることを確かめようとする過剰確認行動も認められやすい。

出典元:同上

相手に見捨てられることを恐れる一方で、激しい言葉や、相手のプライドをズタズタにするような言葉を、わざわざ投げかけてしまうのである。その背後には、相手が自分のことをおろそかにしているという被害感がある。

出典元:同上

「安全基地の愛情を執拗に確かめる段階」とほぼ同じです。

ならば

論理的に言えば、これらの行為を続けているうちに愛着障害は回復に向かうはずです。

続きを見てみましょう。

1-3.離れていってしまう

「不安型」の人とパートナーや恋人との関係はこんな感じです。

24時間いつでも相手をしてもらえるような恋人やパートナーが、愛着対象と同時に依存対象となって、不安型の人を支えることとなる。

出典元:同上

いくら愛情の感じる相手だと言っても「24時間いつでも相手」というのは精神的にキツイですよね。岡田氏も

その結果、支えになってくれていた相手が、離れていってしまうこともある。

出典元:同上

と言っています。

「不安型」の人の場合、安全基地となってくれるはずのパートナーや恋人は離れていってしまうらしいです。

2.カウンセラーの助力

精神科医

以上のように、岡田尊司氏の主張は完全に論理破綻しているのですが、

精神医学界の名誉のために言っておくと、これは岡田氏の問題であって「愛着理論」の問題ではありません

岡田氏が「愛着理論」を超拡大解釈して『愛着障害』という著作を書いたら話題になって売れました。

よって

岡田尊司流の愛着理論は有名なのですが、反面その無茶苦茶な解釈や論理性のなさで専門家からはかなり評判が悪いのです。

※もともと岡田氏は著書『愛着障害』以前から批判の多い人物でした。

にもかかわらず、愛着障害関連の本を書き続け『愛着障害の克服』では開き直ったかのようにこう言います。

しかし、そこにはしばしば落とし穴もひそんでいる。最初のうちは親身に相談に乗ってくれていても、次第に負担になってきて態度が冷たくなり、最後には拒否されてしまうということも起きがちなことだからだ。

出典元:岡田尊司『愛着障害の克服』

「安全基地」となるはずのパートナーや恋人から「最後には拒否されてしまうということも起きがちなこと」らしいです。

そして、岡田氏はこのように結論付けます。

課題を抱えている人が真剣に向き合おうと思ったときには、せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、信頼できる専門家に助力を求めることをお勧めする。費用がかかったとしても、長い目で見ると、もっと大きな損失や危険を避けることにつながる。

出典元:同上

結局、「安全基地」になれるのは金はかかるが、カウンセラーくらいしかいないとのことです。

これほど清々しいビジネストークはあまりないですよね。

3.回避型、恐れ・回避型と「安全基地」

注射

ここまでは「不安型」について話だったのですが、「回避型」や「恐れ・回避型」の場合はどうなのでしょうか。

3-1.回避型の場合

共感的なカウンセリングよりも、認知行動療法や実践的なトレーニングの方が、何かしてもらったという手ごたえを感じやすい。

出典元:同上

「共感的なカウンセリング」とは安全基地による治療の事なのですが、相性が良くないようです。

3-2.恐れ・回避型の場合

「不安型」と「回避型」を合わせたような特徴を持つので、やはり効果は期待できないでしょう。

4.頼れるのはカウンセラーだけ?

金

そもそも「安全基地に一旦依存させる」事自体がむちゃくちゃな話です。

依存状態」自体が患者に大きなストレスをかけるし、その状態から抜け出せる保証はありません。

しかも、岡田氏は「安全基地が離れてしまう」とあっけらかんと書いていますが依存状態の相手を失えばさらにストレスがかかります

要は岡田氏が提示する治療法はリスクがかなり高いわけです。しかし、このように考えてみるとどうでしょうか。

  1. パートナーや恋人が安全基地になるのがベスト」と言いながら、患者のパートナーや恋人に無理難題を押し付ける。
  2. その結果、パートナーや恋人は去ってしまい患者は孤立してしまう。そして頼れるのはカウンセラーだけになってしまう。
  3. カウンセラーを安全基地にした結果カウンセラーに依存してしまい、カウンセリング料がかさむ可能性も。

このように考えるとカウンセラーにとってはおいしいビジネスモデルだと言えます。

岡田尊司氏にそのような気がなくとも、岡田氏の理論はこのように「カウンセラーの金儲け」にも利用される可能性があるのです。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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