内的作業モデルとは | これが機能しなければ愛着障害は治らない

プラモデル

この記事をシェアする

愛着理論で重要な概念と言えば「愛着障害」はもちろんのこと「愛着スタイル」「安全基地」などが思い浮かびますが、

今回紹介する「内的作業モデル」こそが最も重要な概念だと言えるかもしれません。

なぜなら

内的作業モデルは愛着スタイルの基になるし、これが機能しないと安全基地による愛着障害の治療は果たせないからです。

※「愛着スタイル」の詳しい解説については

※「安全基地」の詳しい解説については

これらの記事に書いたのですが、これらの主要な概念を支えているのは「内的作業モデル」だということを今回は知ってください。

※当サイトでは岡田尊司氏の著作を主に参考にしていますが、岡田氏が拡大解釈した愛着理論への批判もしています。

  • 愛着障害の正しい診断基準や症状・特徴
  • 治療方法やその副作用、カウンセリングを受ける際の注意点
  • 生きづらさの正体
  • 毒親との関係

などの知識に興味がある方は

愛着障害【全知識】

こちらをご覧ください。

※また、今回の記事は

こちらの「おススメ」を読んでいただいている前提で話を進めます。

1.内的作業モデルについて

シロクマ親子

まずは前回(愛着関係と信頼関係 重要なのはどっち? | 2つの違いや形成方法も)の復習から入りましょう。

1-1.愛着関係と信頼関係

「愛着関係」はあらゆる信頼関係の基盤になる概念でした。

そして

愛着関係があらゆる信頼関係へ応用される際の仕組みが「内的作業モデル」です。

前回は岡田尊司氏の言葉を引用しましたが、今回は高橋和巳氏の言葉を引用します。

1-2.内的作業モデルとは【高橋和巳ver】

いわば、人間理解の基本テンプレートである。人はこれを心の中に保持して、日々人間関係を理解し、対応している。

出典元:高橋和巳『「母と子」という病』

われわれは心の中にある「基本テンプレート=マニュアルのようなもの」を絶えず参照しながら他人と接しているということです。

そして、このマニュアルが「内的作業モデル」です。

このままでは理解するのが難しいでしょうから例を用いましょう。公園で転んで泣き出したa君とb君が居たとします。その時、

  • a君の母親:「痛かったわね、かわいそうに」と慰める
  • b君の母親:「ふざけすぎたからでしょ」と叱る

すると、a君とb君はどのように感じるでしょうか。

1-2-1.a君はどう思うか

失敗してもきっと助けてもらえる。だから失敗を恐れなくてもいい

そして母親から助けてもらった経験繰り返すことで、やがてa君は「他人は助けてくれる優しい存在なんだ」と思うようになります。

つまり、他者を信頼できる人間になります

そのイメージの上に「どのように助けを求めたらいいのか」といった具体的な知恵が築かれます。

1-2-2.b君はどう思うか

失敗したら怒られる。失敗は自己責任。また、自分は助けてもらえない

このような経験を繰り返すことで、やがてb君は「他人は冷たい存在なんだ」と思うようになります。

つまり、人間不信になってしまいます。

そのイメージの上に「他人と関わってはいけない」や、逆に「どうすれば他人を上手くコントロールできるのか」といった知恵が築かれます。

1-3.内的作業モデルとは【まとめ】

少しゴチャゴチャしてしまったのですが、このように考えてください。

内的作業モデルとは

  • 愛着関係で学んだ他者や自己へのイメージ+それに則した具体的な知恵
  • 他人とどのように関わるのかを決める際に使われる

ちなみに岡田氏の主張では、b君のような「ネガティブな内的作業モデル」を持った人は

ストレス次第で様々な症状や支障(つまり愛着障害)を持ってしまうようです。

対して高橋氏の主張では、「ネガティブな内的作業モデル」はコミュニケーション能力に影響するものの、愛着障害には関係ありません

このような解釈の違いがあることも覚えておいてください。

2.内的作業モデルと愛着スタイル

プラモデル

先ほどのb君の内的作業モデルは「不安定な愛着スタイル」に類似しています。

  • 他人と関わってはいけない→「回避型」の愛着スタイル
  • どうすれば他人をコントロールできるか→「不安型」の愛着スタイル

ここで「愛着パターン」と「愛着スタイル」の定義を思い出しましょう。

※詳しくは

こちらをご覧ください。

  • 愛着パターン親や養育者に対して示す、単純な行動パターン。
  • 愛着スタイル親や養育者も含めた周りの全ての人に対して示す、複雑な行動パターン。

このように愛着パターンは愛着スタイルに含まれているのが分かります。

正確に言えば、愛着パターンが成長するにつれ愛着スタイルに上書きされていくのですが、

内的作業モデルとは

  • 愛着関係で学んだ他者や自己へのイメージ+それに則した具体的な知恵
  • 他人とどのように関わるのかを決める際に使われる

という定義を踏まえれば愛着スタイルと内的作業モデルは同じものを指す気もします。現に岡田氏は

それぞれの愛着スタイルは、「作業モデル」と呼ばれる行動のプログラムをもっている。それは、幼いころからこれまでの人生のなかで作り上げられてきた、行動や反応の鋳型であり、判断基準である。

出典元:岡田尊司『愛着障害』

※もちろん「作業モデル」は内的作業モデルのことです。

愛着スタイルは、その人の根底で、対人関係だけでなく、感情や認知、行動に幅広く影響している。

出典元:同上

というように、愛着スタイルと内的作業モデルを明確に区別していません「だったら、内的作業モデルという概念は必要ないんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、内的作業モデルは「安全基地」を理解する上で非常に有効です。

3.内的作業モデルと安全基地

安全ヘルメット

岡田氏の著作を読んだ方は愛着障害の恐ろしさと母親の影響力の大きさを嫌というほど知らされたと思います。

3-1.岡田尊司的愛着理論【概要】

先述した「愛着関係」は、基本的には母親が築かなければならず、それが出来なければ

母親は、子どもの対人関係だけではなく、ストレス耐性や不安の感じ方、パートナーとの関係や子育て、健康や寿命に至るまで、生存に関わる影響を、それこそ生涯にわたって及ぼす。

出典元:同上

このように

対人関係、ストレス耐性や不安の感じ方、パートナーとの関係や子育て、健康や寿命に生涯にわたってハンデを背負ってしまいます。

よって、母親は絶対に子どもと愛着関係を形成しなければならないのですが、

愛着関係を形成する方法については

母親が愛着関係を形成形成できなくても「安全基地」が居ればなんとかなるというのが岡田氏の主張でした。

3-2.新たな内的作業モデルの獲得

岡田氏の主張に対しては「短絡的に考えすぎではないか」という批判もあるのですが、確かに、

愛着障害の治療の過程を「安全基地と新たな愛着関係を結び直し、新たな内的作業モデルを獲得して作動させる過程」

と捉えれば、岡田尊司的愛着障害の治療も可能かもしれません。

正直言って、岡田氏は内的作業モデルについてを掘り下げているとは言い難いのですが、

「安全基地がどう振る舞うべきか」についての解説は多くされているようなので、気になる方は

こちらをご覧ください。

3-3.安全基地の注意点

逆に、新たな内的作業モデルがちゃんと機能しなければ

「安全基地」は愛着障害の人に対する依存度を高めるだけで、むしろ他人とのコミュニケーションを満足に取れなくする可能性もあります。

※「安全基地」による愛着障害の治療法の危険性副作用については

今回は「内的作業モデル」を解説したのですが、結構難しかったと思います。しかし大事な概念ですので、ゆっくりと理解していってください。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
この記事をシェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。