想起とは | 哲学的意味、アリアナ・グランデとの関係も


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今回は「想起」について解説しますが、

そう き さう- [1] 【想起】( 名 ) スル

① 思い出すこと。前にあったことを思い浮かべること。 「前例を-されたい」

② 〔ギリシャ anamnēsis〕 プラトンの用語。人間の魂が真の知識であるイデアを得る過程。人間の魂が真の認識に至る仕方を、生まれる前に見てきたイデアを思い起こすこととして説明した。アナムネーシス。

③ 〘心〙 「再生⑦ 」に同じ。

出典元:三省堂 大辞林 第三版

この内プラトン哲学における「想起(アナムネーシス)」について解説していきます。

この解説だけではチンプンカンプンだと思うのですが、今のところは、

想起は[真の知識であるイデア]を[思い起こす]ことというふうに捉えておいてください。

1.メノンの難題と想起説

[想起]は何故必要なのか、[想起説]はどのような経緯で出てきたのか、をまずは解説していきます。

  • ソクラテス様々な[徳]を探求してた。
  • ソクラテスは「徳が何なのか自分にはわからない」と言っていた。

[徳]とは善や美、勇気などの望ましい精神状態こと。

実は、このソクラテスの行動は深刻な矛盾を孕んでいます。それを指摘したのはメノンという青年です。メノンはソクラテスに問います。

「徳が何なのかわからないのに、どうやって徳を探すのですか?」

確かに、その通りですよね。

例えば、母親から「イチゴ買ってきて」とおつかいを頼まれるとします。

まあ、[あまおう]や[とよのか]などの品種はどれを選ぼうか迷うかもしれませんが、イチゴ自体は買って来ることはできると思います。

しかし

母親から「ピップルペン買ってきて」と言われたらどうでしょうか。

「ピップルペンとはペンの種類なのか」「化粧品か何かなのか」…皆目見当がつかず、探しようがないと思います。

もっと言うと、

  • あらかじめ知らない状態で目的のものを見つけても、それを見逃してしまうのではないか。
  • あらかじめ知っているのなら、改めて探求する必要はない

よって、ソクラテスは[徳]の正しい認識に辿り着かないわけです。

2.初期想起説

メノンの問いに対してソクラテス(あるいはプラトン)が提起するのが[想起説]です。

これはピタゴラス教団やオルフェウス教が説いていた輪廻転生説が影響していると言われています。

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2-1.輪廻転生と想起

まとめるとこんな感じです。

  • 魂は輪廻転生、つまり何度も生まれ変わる内にあらゆるものを知る
  • そのようにして知ったことをわれわれは思い出せ(想起すれ)ばよい。

まあ、正直言って答えになっていないのですが、

※今知っている理由を「前世知っていたから」と言っても「それでは何故前世に知ることが出来たの?」と言われるだけです。

ソクラテス(あるいはプラトン)は、さらに「探求し学ぶことは想起である」というテーゼを提唱します。

2-2.学習の本質

ソクラテスはメノンの召使の少年に「地面に書いた正方形2倍の面積の正方形を書きてみてくれ」と言います。

この少年は幾何学の知識がなかったのですが、ソクラテスの助言を参考にしながら試行錯誤の末、見事に正方形を完成させます。

これこそが「探求し学ぶことは想起である」の意味です。

「こうしなさい」と押しつけられなくても、適切なアドバイスさえあればもともと知っていた知識を思い出すことが出来るというわけです。

知識は外部から押しつけられるわけではなく、内部にありそれを想起するわけですね。

※これは学習の本質をミメーシス(模倣)だとしていたアリストテレスとは相反します。

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3.後期想起説

まあ、確かに幾何学の知識はそのようにして得られるかもしれませんが、ソクラテスが探求していたのは[徳]だったはずです。

果たして

徳も幾何学のように思い出すことはできるのでしょうか。

しかし、ソクラテスやプラトンはこの質問には明確には答えてくれません「できるはずだ」くらいの主張です。

代わりに、想起説は「魂の不滅の証明」に向かいます。

3-1.イデアとの関係

「魂の不滅の証明」はプラトンの著作、対話篇『パイドン』に出てきます。「魂の不滅の証明」は至って簡単です。

「想起が成立している以上、生まれる前の知識を現在に伝える[魂]は存在しているはずである」というわけです。

さらに『パイドン』では想起が[イデア]とセットで語られます。

※イデアは真実の姿あるべき姿を意味する概念だと思ってください。

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3-2.アリアナ・グランデとの関係

先ほどまでのメノンとの対話時点での想起説は、

  • 魂は輪廻転生、つまり何度も生まれ変わる内にあらゆるものを知る
  • そのようにして知ったことをわれわれは思い出せ(想起すれ)ばよい。

でしたが、『パイドン』での想起説は、

  • 魂は生まれる前はイデアを見ていたが、現生に生まれ肉体に閉じ込められることでイデアを忘却してしまった。
  • イデアに似た感覚的対象を見ることで、イデアを想起する。

というものに変わっています。

例えば「美しいもの」について考えてみましょう。

大都会の夜景」それとは逆に「広大な自然」、「アリアナ・グランデ」…いろいろ挙げられると思います。

これらは一つ一つは全く別物なのに、同じ「美しいもの」として経験されるのは何故でしょうか。

その答えとしてプラトンが提示するのが、

それらのものを見た時に、魂が[美のイデア]を想起することで、それらが「美しいもの」だと判断できる

という想起説です。

ただし、「感覚的対象を見る」と言っているので、

見る対象ではない「美しい心」や「アリアナ・グランデの歌声」はどうなるのかと思いますが、そこらへんはよくわかりません

いずれにせよ、ここでも「魂が肉体に閉じ込められる」という点にピタゴラス教団やオルフェウス教の影響が見られます。

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以上です。ありがとうございました。
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