アダルトチルドレンの症状や辛さが「理解されにくい」理由

シルエットの男

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前回(愛着障害と「毒親」や「アダルトチルドレン」は関係ない?)の続き。

アダルトチルドレン」という言葉を知っている人は、おそらく「愛着障害」のこともある程度ご存知でしょう。

この2つはよく似た概念(どちらも親が原因になるという共通点があります)なのですが、世間に広まった時期が違うようです。

日本では、アダルトチルドレンは1995年、愛着障害は2011年あたりにそれぞれブームになりました。

※ただし「愛着障害」という言葉自体はもっと昔からありました。

もっと言うと

「アダルトチルドレン」という言葉が使われなくなった代わりに、「愛着障害」が使われるようになったとも言えるでしょう。

それでは何故「アダルトチルドレン」は使われなくなったのか。

これを理解することは「アダルトチルドレン」と呼ばれる人が社会から理解されにくい理由を理解することにも繋がります。

1.アダルトチルドレンの元々の定義

「アダルトチルドレン」の定義はWikipediaのを参考にします。

親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人。

出典元:Wikipedia

「機能不全家族」という聞きなれない言葉が使われていますが、基本的には

「アダルトチルドレン」とは親の虐待によって生きづらさを抱えた大人

を指しています。まあ、「毒親」とセットで考えてもいいでしょう。

「アダルトチルドレン」という言葉は親の虐待やそのトラウマに苦しむ人の辛さを多くの人の関心事にした点で非常に優れているのですが、

このような言葉は必ず「目立ちたがり屋」に悪用されます。

例えば

「機能不全家族」という言葉は定義がわからなくとも、何となく「かなり特殊な家族を指している」と思いますよね。

よって、普通の人は「機能不全家族」という言葉は滅多に使いません。

しかし、中にはこの手の言葉を乱用し売名したがる人たちもいます。

以上のことを踏まえて続きを見ていきましょう。

2.定義の拡大

精神科医

精神科医の斎藤学によって、アメリカの「機能不全家族で育った人」という意味のアダルトチルドレン概念よりさらに意味が拡大され(…)

出典元:同上

目立ちたがり屋の精神科医の登場です。

斎藤学氏は多くの人に「アダルトチルドレン」のレッテルを貼り出したらしいのですが、何故そのような事をしたのでしょうか。

続きを読みましょう。

斎藤らは、近代家族(核家族)の特性に家族の機能不全性を見いだし、企業戦士で仕事に依存する父、夫の仕事依存を可能にする良妻賢母的な共依存の母に育てられ、勉強依存の傾向がある子など、明らかな虐待を受けたわけではない人の多くにも、アダルトチルドレンの問題があると考えられるようになった。

出典元:同上

おそらく、斎藤氏らは

企業戦士」「勉強依存(受験戦争を念頭に置いているのでしょう)」などの社会問題をアダルトチルドレンの観点から語ること

によって売名に成功したのでしょう。

しかし

このような非科学的胡散臭い言説はすぐに飽きられるし、まともな人間からは相手にされません

現に「アダルトチルドレン」と言う概念は精神医学界からは排除され、世間からもほとんど忘れられてしまいました。

1999年にはアダルトチルドレンを「死語」として扱う記事が現れ、2000年になると取り上げられる機会も大幅に減った

出典元:同上

そして、その代わりに登場したのが「愛着障害」です。

3.何故「死語」になった?

シルエットの男

愛着障害の話をする前に、「アダルトチルドレン」という言葉が何故まともに取り扱われなくなったのか考えてみましょう。

臨床単位・病名ではなく、客観的にアダルトチルドレンを定義・識別する試みは成功していないため、自己認定、自己申告だけが基準になる

出典元:同上

つまり、非科学的であること。そして「自己申告」が基準になるということは、

自分がアダルトチルドレンだと思えば、その人はアダルトチルドレンになってしまいます。

臨床心理士の信田さよ子氏はこのように言います。

臨床心理士の信田さよ子は、本人が機能していなかったと考えればそれは機能不全家族であるとし、「私はACを『自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人』と定義づけている」「自分がACと思えばAC」と述べ、アダルトチルドレンは自己認知の問題であり、医師やカウンセラーが一方的に診断して与えるレッテルではなく、病気でもないとしている

出典元:同上

「本人が機能していなかったと考えればそれは機能不全家族」…信田氏は簡単に言いますが、そのような馬鹿げたことをすれば、

  • まともな親を逆恨みすることになり、親子関係が破綻する。
  • アダルトチルドレンと思い込んだ人は大きなハンデを背負ったと思い込み、さらに自分は不幸だと思い込むようになる。

このように多くの人に被害が出ます。しかし、驚くべきは「カウンセラーが一方的に診断しするものではない」と断言していることです。

つまり

「自分はアダルトチルドレンだ」と思い込み、親子関係が破綻したとしても、それは自己責任でカウンセラーは責任を取らない

ということです。その一方で、

この手のカウンセラーは「アダルトチルドレン」に関するセラピーやカウンセリング、講演や出版活動などで金儲けをしています。

これと同じ流れでブームになったのが「愛着障害」なのですが、

精神医学界は「反応性愛着障害」と「脱抑制型対人交流障害」という虐待が原因で起こる障害しか愛着障害と認めていないのに対し、

一部のカウンセラーは「広い意味での愛着障害」という概念を使って、多くの人を愛着障害と思い込ませようとしているのです。

日本では岡田尊司出版活動を通じて、「広い意味での愛着障害」と自身の売名に成功したのは記憶に新しいですよね。

4.本当に虐待を受けた人たち

毒

売名や金儲けに勤しむカウンセラーが胡散臭いのはわかりました。

しかし

そうなると今度は「アダルトチルドレン本人」も社会から胡散臭く思われてしまいます。

確かに、何でもかんでも親のせいにする人は社会からは受け入れられないでしょう。

ちなみに、岡田尊司氏は多くの人に「広い意味での愛着障害者」というレッテルを貼りながら、

 ↑ のような事を言っています。

岡田氏は「被害妄想が強いというのも愛着障害の症状の一つだ!」と言いたいのでしょうが、

普通の論理力を持った人なら「そうか、愛着障害者が親から酷い扱いを受けたというのは被害妄想なのか」と解釈します。

そして

本当に親から酷い扱いを受けた人の主張さえも被害妄想だと思われるようになってしまいます。

「アダルトチルドレン」という言葉は、もともと虐待を受けた人を助けるために出来た言葉だったのにもかかわらず、

目立ちたがり屋の精神科医の売名や金儲けに理解された結果、定義はあいまいになり誰からも相手にされなくなりました。

そして、「アダルトチルドレン」自体も理解されづらくなってしまいました。「愛着障害」も同じ道を辿るかもしれません。

以上です。ありがとうございました。

※「愛着障害」に関する全記事はこちら

愛着障害【全知識】
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